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【ネタバレあり】映画「君たちはどう生きるか」感想と作品から感じたメッセージ

ジブリ作品の中で、「いちばん手先が器用な主人公」であろう眞人(まひと)

 

スタジオジブリ作品「君たちはどう生きるか」を遅ればせながら観てきました。

映画を観て感じたことを書いていきたいと思います。

 

この記事は、実際に映画を観たことを前提に書いています。

タイトルにもありますが、まだ作品をご覧になってない方、作品の詳細を知りたくないという方はお気をつけ下さい。

 

なお、この記事内の考察は、あくまでも私個人の見解であり、製作者の意図したものとは違っている可能性があります。ご了承ください。

 

 

事前にあらすじを読んでいないと、ストーリーがどこへ向かっているのかわかりにくい

 

前もって、あらすじなども見ないまま、この作品を見ることにしました。

 

この話、どこへ向かってるんだろう…

 

映画が始まって10分15分と経つにつれて、私の頭に浮かんできたのがこれでした。

 

眞人がお屋敷にやってきてから、夏子が行方不明になってストーリーが動き出すまでが長い。

 

同じく、主人公が不思議の世界に迷い込む作品でも「千と千尋の神隠し」の場合は

 

  1. 千尋と両親が不思議の世界に迷い込む
  2. 両親が無断で食事に手をつける
  3. 千尋、ハクと出会う
  4. 両親がブタになってしまう
  5. 千尋、元の世界に戻ろうとするが、道がなくなり帰れなくなる
  6. いろんな人物の助けを得て、千尋は湯婆婆と契約を結ぶ

 

と、いうように、ストーリーの展開が早くてどんどん作品の世界に引き込まれるし、千尋の置かれている状況や行動の目的も自然にわかってきますよね。

 

「君たちはどう生きるか」は事前にネットなどであらすじを見ておけば、多少は単調さが和らぐかも知れないけど、それでもストーリーが動き出すまで我慢しなきゃいけないのは辛い…

 

眞人が塔に入る動機が弱い気がする

眞人の継母であり叔母でもある夏子

 

それまでの流れを見れば、眞人が夏子のことをあまり好いていないというのは明らかなのに、行方不明になった夏子を連れ帰るために塔に入るというのは動機が弱いと思った。

 

アオサギに「夏子さんを返せ!」と繰り返す眞人に、

 

「あんた夏子のこと、あんまり好きじゃないくせに」と何回もツッコんでしまった(笑)

 

「それでも家族だから」と言われたらそれまでだけどね(苦笑)

 

ジブリの描く世界は、本当に美しい

緑の蔦に覆われた美しい家に住む少女・ヒミ

 

「君たちはどう生きるか」には、これまでのジブリ作品で見たようなシチュエーションや景色が多かったですね。

 

序盤、眞人が瓦礫の隙間をくぐって塔の中に入ろうとするシーンは「となりのトトロ」

 

眞人が夏子の元へ向かう途中に通った深い森は「もののけ姫」

 

「空から○○が降ってきた」というシチュエーションや、インコでぎゅうぎゅう詰めの塔の内部は「天空の城 ラピュタ」

 

炎を自在に操る少女・ヒミが住んでいる家は「魔女の宅急便」のキキの実家にそっくり

 

これまでマイナスなことばかり書いちゃったけど、ジブリの描く世界は本当に美しかったです。

 

先祖が積んでいたのは「賽の河原」か

不思議な塔の最上階で石を積み上げていた眞人の先祖

先祖から、このまま塔に残り、さまざまな形の「積み木」を積み上げる役目を継いでほしいと言われた時の眞人のセリフ

 

「それは"木”じゃない!悪意を感じる」

 

木を積むから「積み木」

もし石を積むなら「積み石」ということになる――。

 

「石を積む」というフレーズで頭によぎったのは、「賽の河原」のことでした。

 

【賽の河原】

小児が死んでから苦しみを受けるとされる、冥途(めいど)の三途(さんず)の河原。

石を拾って父母供養のため塔を造ろうとすると鬼が来て壊すという。

 

先祖が石を積み上げるたびに、世界は発展していったのでしょう。

歪な形をした「それ」は実際の私たちの先祖が作り上げた世界でもあり、「地獄の象徴」のような賽の河原でもある。

石は私たちが発展と引き換えに生み出した、業なのかも知れないと思いました。

 

これからの世界を「君たちはどう生きるか」という問いかけ

ケンカするほど仲がいい?

 

先祖の造った「積み石」は大きく傾きながらも、なんとか建っていました。

それが崩れたのは、意図的に壊したから。

 

こんなに傾いてしまった世界を、この先も維持するのは不可能だ。

だったらもう、壊してしまったほうがいい――。

 

そんな製作者のメッセージを感じました。

 

壊すと言っても「こんな世界、なくなってしまえ!」というような自暴自棄なものではなく、もう一度、シンプルな形に戻そうよということだと思います。

 

父がいて、母がいて、子供がいる――みたいなね。

 

崩れた塔から飛び立つ、色とりどりのインコは多様性の象徴なんでしょう。

カラフルでキレイだけど、辺りが一面、鳥のフンまみれになるのは、それが決してプラスになることばかりじゃないということを表しているんじゃないかな?

 

「崩れてまっさらになった世界で、君たちはどう生きるか」

 

映画を通して、そう言われたような気がしました。

 

最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。

 

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出典

画像:スタジオジブリ 作品静止画提供

セリフ引用:スタジオジブリ「君たちはどう生きるか」

「賽の河原」とは:広辞苑